７／２８ ふわふわクラゲ（たまにはくらげ）

質問好きな小さな子供がいました。
その少年は街を歩いているときに次はどんな質問をするか
考えていました。
少年は何かひらめいたようです。
質問好きな少年は前からやってきた年老いた男性にたずねました。

『ねぇねぇ、なんでクラゲはフワフワ浮いてるの？』

老人はニッコリ目を細めて少年に優しい口調で答えました。
「おもしろい質問じゃのぉ。では話そう＾＾」

少年は目を大きくキラキラさせながら老人を見て、うんうんと
うなずきました。
老人は話し始めました。
『昔ぁ〜し昔、神様は青い空から現れて
この星（地球）にクラゲを誕生させたんじゃ。
そのクラゲはダラダラ過ごすと神様から罰を与えられると思い、
何でもかんでもがむしゃらに頑張った。
強い波が押し寄せてもその流れに逆らい、
自分を食べようとする天敵からは逃げずに戦い、
強くたくましく生きたんじゃ。
頑張り続けたクラゲは色んなことで鍛えられ、
筋骨隆々になったんじゃよ。
それからもクラゲは誰にも頼らず何事にも一人で頑張り続け、
一日も休もうとしなかったんじゃ。
やがてクラゲは大波が押し寄せても
向かっていかなければならない、
天敵と戦って傷だらけになっても逃げずに戦わなければならない、
逃げてはいけない、
休んではいけない、
強くなくてはいけない、
頼ってはいけないという気持ちが強くなっていったんじゃ。』

少年はまるで老人が話すクラゲの話に痛々しいような
悲しいような心配そうな表情になっていました。
老人は少年のその表情を見るとすぐに話を続けました。

『するとの、神様は頑張り過ぎるクラゲのことが心配で、
このままだとクラゲの心がいつか破裂することを知っていた
神様はクラゲに体や気持ちを休ませることの大切さを知ってほしくて、
クラゲの心の中から【〜しなければいけない】【〜ねばならない】という気持ちを
ヒョイと取り除いたんじゃ。
そしたらクラゲは気持ちが穏やかになって余計な力も抜けて
クラゲはクラゲらしさを取り戻したんじゃ。
今まで頑張ったから一休みしているんじゃよ。
だからクラゲはフワフワ浮いているんじゃよ。
神様は安心してそのクラゲを見届けた後、また青い空に帰っていったんじゃ。』

老人は話し終えると少年にこう聞きました。

『少年、これでなぜクラゲがフワフワ浮いているか分かってくれたかの？』

不安そうな表情をしていた少年はその話を聞いて安心したのか
ホッとした表情になり、方の力も抜けて、
うんうんと嬉しそうにうなずきました。
少年の気持ちはそれこそクラゲのようにふんわりした気分になっていました。

その直後、少年の前からその老人の姿が消えました。
少年がどこを見渡してもさっきまで話してくれた老人はいませんでした。

そのとき青い空の一点が一瞬キラリと光りました。

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ゆらゆらクラゲ。
ふわふわクラゲ。
ゆらゆらクラゲ。
ふわふわクラゲ。
たまにはそんなんもいいもんですなぁ。
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